Management
組織を創設する際,そこには必ず理由があり,目的が存在する。特に医療組織のような非営利組織においては,その存在理由や目的は明確でなくてはならない。非営利組織創設にあたっては,その影響を及ぼす地域社会からの強い使命(ミッション)が存在理由の基となり,その組織が表明する決意が組織の理念となる。従って,その組織経営にあっては使命と理念の追求が重要で,経営管理はこの使命をしっかりと認識し,理念として表明した役割を確実に果たしていくことになる。
その意味から,経営管理は環境の変化を敏感に感じ取り,組織を変化に対応させながら,時代の流れにあった戦略を策定し,高品質性や効率性を追求し,その戦略実行のために経営資源を最適に配分・調整することといえる。組織全体を管理していく手法としてバランスト・スコアカード(以下,BSCと呼ぶ)がある。BSCは1992年,ロバート・S・キャプラン教授とデビット・P・ノートン博士によって確立され,経営管理の一手法として『ハーバード・ビジネスレビュー』誌上に発表されたが,近年では組織目標であるビジョン達成のためのマネジメントシステムとして活用されている。
実際に組織が目的・目標を達成しようとする活動においては,組織内の各機能が十分にその役割を果たさなければならない。そのためには業務管理をすることが重要である。業務管理には財務管理,患者管理など具体的・ハード的活動から,安全管理,危機管理,品質管理,情報管理などソフト的活動まで迄含まれる。中でも人材管理,財務管理などは組織の基礎となるものであり,確実に管理していかなければならない。
財務管理は組織の財務諸表を利用して経営分析を行い,経営状況を的確に表現し,また,いろいろな角度から原価計算を行うことにより,組織改善に役立てることができる。