Business Continuity
事業継続性とは,様々な災害や不測の障害が発生しても事業が間断なく続けられることをいう。また,このような緊急事態に備えて平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方針,方法および手段などを取り決めておく計画を事業継続計画もしくは業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)という。事業継続性が経営上の重要な課題として取り上げられる主な理由は,災害や障害による影響によって企業そのものの存続を左右しかねないからである。一方,病院では阪神大震災,東日本大震災において,自らが被災者の立場になることを再認識し,その教訓をもとに一般企業にならって事業継続性の確保が叫ばれるようになった。もとより病院組織運営においては,地震などによる大規模災害時だけではなく,新感染症,インフルエンザなどのアウトブレイクによって医療提供そのものが中断され,病院運営が立ち行かなくなる恐れも有している。
このような災害や障害に適切に対応するためには,平常時より自院の医療機能を的確に把握し,不足な点,弱い点などを把握・評価し,事前に補っておくことが必要である,また,起きてしまった災害,障害による被害を最小限に抑え,できるだけ早期に危機から回復することも考えなければならない。そのような観点からすると事業継続への取り組みは,リスク管理・危機管理の一環といえる。
事業継続計画(BCP)については,平成17年8月に内閣府より業種・業態・規模を問わず,全ての企業・組織を対象とした「事業継続ガイドライン」が策定され随時改定も行われている。病院においては,厚生労働省が「BCPの考え方に基づいた病院災害対応計画作成の手引き」を発行し,全国の病院にむけて災害対策マニュアルの整備を勧めていることもあって,災害時を想定した事業継続計画(BCP)を策定されている場合が多い。とりわけ「災害時における初期救急医療 体制の充実強化を図るための医療機関」として定めている災害拠点病院に対しては,BCPマニュアルの整備を求めている。なお,社会福祉施設・事業所向けではあるが,新型インフルエンザ等発生時の業務継続計画(BCP)として,「新型インフルエンザ等発生時の業務継続ガイドライン」が厚生労働省より発行されている。