Visiting Nursing Station
高齢者の在宅ケアを支えるために,1992年,老人保健法を改正して制度化された看護師や保健師の開業制度のもとで,自宅で療養する高齢者などに訪問看護サービスを提供する事業所である。従来,看護系職種で独立して開業できるのは助産師だけであったが,本法によって看護師や保健師にも開業権が認められ,それまでの自治体における訪問看護指導事業と病院・診療所など医療施設での訪問看護に加えて,新たな形での訪問看護を行う事業所として位置づけられる。この制度は老人保健法・健康保険法・介護保険法と連動しており,かかりつけ医の指示によって看護師(保健師・助産師等)が自宅を訪問し,医療的処置・管理等をするほか療養上の相談に乗るなど在宅療養を可能とするものである。介護保険制度における居宅介護サービスの一つとして位置づけられている。サービス内容は,医師の指示のもとに行う治療介助や介護指導のほか,リハビリ指導など多彩である。サービス担当者は保健師,看護師,准看護師ほか,理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語療法士(ST)である。
訪問看護ステーションの現状として,小規模な事業所が多く,非効率さやサービス担当者の負担が課題となっている。事業所の規模が小さいほど収支の状況が悪く,また,小規模な事業所のほうが24時間対応体制の届出有りの割合が低く,同様に算定者の割合も小さい。一方で,訪問看護を必要とする者は増加しており,医療依存度の高い患者,難病,がん,小児の利用者が増加し,利用者のニーズは多様化している。また,訪問看護利用者数が多い都道府県では,在宅で死亡する者の割合が高い傾向があり,訪問看護の担う役割は大きい。急速な高齢化に伴い要介護状態でも在宅で療養生活ができるよう在宅・ケアのひとつとして位置づけられ,地域の医療と福祉をつなぐ役割を担っている。