標準化

Standardization

 標準化とは,社会や集団にある領域や分野,性質,規模,種類などの分類区分においてその全体,部分がよりよい状態を作り出すために必要な規律や規程,基準などの決まりごと・ルールのこと。また,その決まり事を検討すること。言いかえると標準化とは,共通仕様を設定し,それを組織全体で活用する取り組みである。標準化の種類は,作業の標準化,行程の標準化,技術の標準化,管理の標準化,用語の標準化,機器や部品の標準化などがある。

 従来は,産業界において用いられた考え方であったが,医療においてEBMに基づき,より効果的で効率的な医療を提供する際に必要な概念として取り入れられるようになった。作業の標準化は,個別性の高い患者に対し,多くの医療者が関わり医療を提供する場合,熟練度や作業環境によってバラツキがでるため,標準的で,効率的,効果的な作業の基準を作ることである。行程の標準化は,多職種がどのような行程で治療に関わるかなどの基準であり,クリティカルパスなどがそのひとつである。より効率よく医療を提供し,在院日数の短縮につながると期待される。技術の標準は,診療や治療方法の規準などであり,診療のガイドラインなどがそのひとつである。管理の標準化は,官僚制組織などの組織体制における部門化,役割の明確,人事採用や意思決定,業績評価・能力評価,物品購入などに関する権限や規則などの規準などである。用語の標準化は,医療に用いる用語の規準であり,電子カルテなどの設計や多職種連携の際に必要とされる。機器や部品の標準化は,輸液ポンプや注射器,点滴ラインなどの規格や共通する使用基準であり,医療安全上,重要視されている。診療に用いる物品の標準化は,購入の際に購入費の削減にもつながるというメリットがある。

 医療における標準化の目的は,作業や行程の規準の作成による効率化,物品購入費の削減,医療安全,電子カルテの設計や多職種連携,在院日数の削減,業績評価や能力評価に基づく人材育成や効率的で効果的な組織運営や経営の遂行などである。

 標準化のメリットは,組織全体の最適により事業の効果とともに個々人および全体の技術力が高まることである。標準化は,個人が習得した技術を組織の実践知として共有する機会を作り,さらにその技術を向上させ,安定した品質の技術やサービスを効率よく提供することができる。さらに,組織として仕事の進め方が統一されるため連携がよくなる。一方で,標準化にデメリットは,機械のように決められた行程を行うことを求められているという錯覚に陥るため,動機づけや思考力の低下が起こるとされている。

【関連用語】

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