改善

Quality improvement

 大辞林によれば,改善は「物事をよい方に改めること」とある。物にもサービスにも,常によりよい方に改める余地があるというのが,その前提である。ある時点では最高・最良だと評価されることも,状況,条件,時代が変わればそうではなくなる。そのため,使い手やサービスの受け手にとってより良い品質やあり様を求めることが,物の作り手やサービスの担い手には欠かせない資質となる。

 経営の世界で改善という言葉が有名になったのは,トヨタ自動車(株)による一連のトヨタ生産方式による。改善は,トヨタ生産方式その中で継続的に行われる活動であり,QCサークルは,改善を実際に計画し実行するための具体的な仕組みである。このトヨタ生産方式によって,きわめて高い品質と生産性が認められ,トヨタ自動車は世界にその名を轟かせた。そして,改善はKAIZENとなり,製造業を中心とする多くの企業が世界中でKAIZEN活動を行うに至っている。

 医療の世界においては,1995年に現在の公益財団法人日本医療機能評価機構が設立されて以来,継続的な質改善(CQI)の取り組みに関心が向くようになった。機構では,病院の質改善活動を支援するツールとして病院機能評価が位置付けられている。5年に一度の更新制度であるから,一度認定を受けたら終了ではなく,経営的にも科学的にもその時代に合った医療機関としての姿を維持し続けなければならない。病院機能評価にとどまらず,ISO9001やJCIなどに挑戦する医療機関も増えてきた。外部機関による第三者評価を積極的に求め,医療の質改善に活かす動きは,今では一般化されてきている。

 改善活動は,数年かけて行うものもあれば,年単位,月単位,日単位のものもある。いずれにおいても,上からの指示命令で改善をしなければならないからするのではない。大事なのは,現場の人たちが,普段からのちょっとした気づきを改善に活かせる風土だ。そして,いったん改善したら終わりではなく,さらなる改善に取り組むことが当たり前になっていることだ。そのためには,改善提案が具体的に実行され,たとえ失敗しても何もしないよりは学びが深まったと認めることのできる風土が必要とされる。組織として成長し,健全な経営を続けるには,数々の事例から学び,他組織から学ぶ姿勢は欠かせない。

【関連用語】

CQI