ベンチマーク

Benchmark

 ベンチマークとは,靴修理の職人が修理の際に客の足を測定することを語源とし,本来は測量において利用する水準点または基準点を示す語であるが,それが転じて,比較のために用いる指標あるいは目指すべき目標を意味するようになった。また,ベンチマーキングとは,他の優れた組織のパフォーマンス(ベストプラクティス)と比較することによって自組織の方法との違いを分析し,改善・改革を行っていく活動を指す。また,現行の業務の実施状況・成果を定量的な指標により測定して多施設比較を行うことで,その集団の分布から,自組織の相対的な順位を知ることができ,目指すべき数値目標を客観的に設定することが可能となる。さらに,アイディア発掘の手段として用いたり、組織が変革の意義やゴールを納得したりするなどの効果がある。

 医療におけるベンチマーキングでは,経営戦略の比較,患者数や在院日数の比較などがよく行われていたが,近年では臨床指標を用いたプロセスやアウトカムの比較が行われるようになってきた。病院グループ・病院団体や医療コンサル会社では,レセプトデータやDPCデータをもとに各種臨床指標を算出してベンチマーキングを行い,各病院における医療の質や経営の改善への活用が行なわれている。厚生労働省においても,平成22年度より「医療の質の評価・公表等推進事業」を開始し,患者満足度を含めた臨床指標を用いた医療の質の評価・公表を行い,評価や公表に当たっての問題点の分析等を行うための体制を整備する団体に対し,補助金を交付している。

 なお,医療機関間での比較として,近隣や似た特性の病院全体としての業績比較を行う場合と,部分的な比較(たとえば肺炎診療に関する比較)を行う場合とがある。また,病院の中で病棟ごとの比較や診療科間での比較もある。また,医療業界以外との比較として,ディズニーランドの接遇との比較や,コンビニにおける商品管理との比較もありうる。

【関連用語】

ベストプラクティス,ベンチマーキング,臨床指標