CBT

Computer-Based Testing(以下CBT)

 一般的にはコンピュータ上で行う試験のことで,受験者は画面上に表示される問題に対してキーボード,マウス等を用いて解答する。従来のテストに比べて問題と答案の管理が容易で,比較的自由に試験実施場所や時間を設定できるとともに,動画,音声を用いた問題を作成できるメリットがある。我が国ではITパスポート試験,日本漢字能力検定など幅広く利用されている。

 医学・歯学教育においては,2005年に導入された共用試験で,知識・問題解決能力を評価する客観試験としてCBTが導入された。一方,態度・診察技能を評価する客観的臨床能力試験はOSCE(Objective Structured Clinical Examination)が実施されている。両試験とも「医学教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドライン」に準拠して出題される。共用試験は,臨床実習開始時期に合せて,年2回実施される。なお,モデル・コア・カリキュラムは,科学技術の進歩により膨大となった医学・歯学教育の内容を精選し,臨床実習開始前および卒業時までに学生が身に付けておくべき必須の実践的能力(知識・技能・態度)の到達目標を具体的に呈示するものである。共用試験は,学生が医学教育において特に重要な臨床実習に診療チームの一員として参加する上で求められる能力と適性について,一定水準を確保するために実施される全国共通の標準評価試験である。

 CBTでは,臨床実習開始前までに修得しておくべき必要不可欠な医学的知識を総合的に理解しているかどうかが評価される。コンピュータを用いて問題プールから受験生ごとに異なる問題がランダムに出題され,受験生ごとの平均難易度に差がないように調整される。単純5肢択一問題および症例が提示された課題についての5肢択一問題の順次解答連問と多肢選択連問から構成される。試験時間は合計約6時間となっている。

 CBT試験問題は,従来の講座・学科目単位の試験では評価が困難であった「基礎と臨床の医学的知識を有機的に統合的して理解している」ことを評価することに主眼が置かれていることが特徴である。臨床に必要不可欠な病態発生にかかわる基礎的に重要な原理と知識,症状・症候発生の鑑別診断およびその病態生理,病態時の正常機能と構造の破綻状況などについて出題される。

【関連用語】

モデル・コア・カリキュラム,OSCE,共用試験