Active Learning
講義形式のような一方向性の教育ではなく,学修する側が能動的に参加することにより教授され学習する教育方法を総称する用語である。その用語の定義は必ずしも明確ではなく,学修する側の能動的・自律的な学習方法を広く総称する用語といえる。
欧米の高等教育領域では,すでに1990年代から発展してきた。本邦では,文部科学省中央教育審議会(中教審)が2012年8月28日の第82回総会で取りまとめた「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」により,全国的にその概念が定着した。
認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を目的とする教育方法である。学修する側が,自ら課題を見出し(発見学習),その課題を解決する方法を探るため(問題解決学習),必要となる経験を通して(体験学習),必要な情報を収集し重要な知識を習得する(調査学習)。
学修する側は個々人で学ぶだけではなく,集団で議論し(グループディスカッション),より正しい結論を導き出すために論戦を行い(ディベート),必要な場合には集団で調査活動なども行う(グループワーク)。また,学修する側の個々人がそれぞれに役割をもって参加する(ロールプレイ)など,議論の質を高めるための工夫も取り入れられる。自らを批判的に振り返る省察・内省(リフレクション)を通して,高い洞察力や分析力を習得させる工夫が重要となる。最近では,eラーニングが広く導入されており,インターネットを通じて様々な情報収集や議論を行うことも多い。
アクティブラーニングの代表的教育手法として,Problem Based Learning(PBL)があげられる。この手法では,提起された簡潔な課題の内容からグループディスカッションなどによって問題を抽出し,それらに関する調査活動を行い,解決を進めていく。教育する側が課題を提示するのではなく,学修する側が課題を発見するところから始めることに重要な意義がある。
こうした能動的学修を成功させるためには,学修する側の意欲の向上が重要な課題となる。これについて,1983年John M.KellerはARCSモデルを提唱した。このモデルは,人材育成・社員教育などで広く用いられており,注意(Attention),関連性(Relevance),自信(Confidence),満足感(Satisfaction)の頭文字をとった用語である。こうした4つの要素を学修する側から十分に引き出すための努力がアクティブラーニングの成功につながる重要な鍵となる。