Community Health Care Visions
2014年6月に効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法が改正され、地域医療構想と地域医療連携推進法人が新たに規定された。
まず、地域医療構想に関しては、都道府県が医療計画を策定するにあたり、地域における病床の機能の分化及び連携を推進するための基準として、厚生労働省令で定める基準に従い定める区域(構想区域)における将来の病床数の必要量、構想区域における病床の機能の分化及び連携の推進のために必要な事項を含む、将来の医療提供体制に関する構想(地域医療構想)に関する事項と、地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進に関する事項を定めることとされた。
具体的には、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数(病床の必要量)を4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとに推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組みである。
厚生労働省は2015年3月に「地域医療構想策定ガイドライン」を策定し、2016年度中に全ての都道府県で地域医療構想が策定され、2018年4月から始まった第7次医療計画の一部として位置づけられた。
また、地域医療構想を実現するため、構想区域ごとに「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)を設置し、関係者の協議を通じて、地域の高齢化等の状況に応じた病床の機能分化と連携を進めることになった。調整会議では、各医療機関が自主的に選択する病床機能報告制度に基づく現状の病床数と地域医療構想における2025年の病床の必要量(必要病床数)、さらには医療計画での基準病床数を参考にして、病床の地域偏在、余剰または不足が見込まれる機能を明らかにして地域の実情を共有し、関係者の協議によって構想区域における課題を解決し、2025年の医療提供体制構築を目指すこととしている。
一方、地域医療連携推進法人とは、病院等に係る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、当該方針に沿って、参加する法人の医療機関の機能の分担及び業務の連携を推進することを目的とし、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定(医療連携推進認定)する制度で、2017年4月から施行されている。
この制度には介護事業等を実施する非営利法人も参加することができ、介護との連携も図りながら、地域医療構想の達成及び地域包括ケアシステムの構築に資する役割を果たすと考えられている。
医療連携推進業務とは、医療連携推進方針に沿った連携の推進を図る業務であり、①医療従事者の資質の向上を図るための研修、②医薬品、医療機器等の供給、③参加法人への資金の貸付け、債務の保証及び基金の引受け、④医療機関の開設等の業務が挙げられている。
2018年12月現在、以下の7法人が地域医療連携推進法人として認定されている。日本海ヘルスケアネット(山形県)、医療戦略研究所(福島県)、房総メディカルアライアンス(千葉県)、尾三会(愛知県)、はりま姫路総合医療センター整備推進機構(兵庫県)、備北メディカルネットワーク(広島県)、アンマ(鹿児島県)。
一方、地域医療再生計画は、2009年の経済危機対策において位置づけられた制度で、2次医療圏単位での医療機能の強化、救急医療の確保、医師等の確保等の取組その他の地域における医療に係る課題を解決するための施策について都道府県が定める計画をいう。国は、2009年度補正予算で地域医療再生臨時特例交付金を確保し、都道府県が地域医療再生計画に基づいて実施する取り組みを支援した。同計画に基づき、25億円×47×2ヵ所を国が計画確認した。県は地域医療再生臨時特例交付金で基金を設置し、計画期間(13年度までの5か年計画)内に当該事業を実施した。現在はすでに終了している。